尿失禁について
自分の意思とは無関係に不意に尿が漏れてしまう症状を、尿失禁といいます。くしゃみや咳をした拍子に尿が漏れた、走ったら尿が漏れたというようなケースから、突然強い尿意が襲ってきて我慢しきれず漏れてしまうケースなど、社会生活に支障を来します。「年を取ったら仕方がない」、「恥ずかしくて誰にもいえない」などとお一人で悩んでいる方も多くいらっしゃいます。尿失禁は病気です。適切な治療で治すことができます。まずは泌尿器科に相談してみてください。
尿失禁の種類
尿失禁にはおもに次の4つの症状があります。
腹圧性尿失禁
咳やくしゃみをしたり、走ったり飛び上がったり、重いものを持ち上げたりしたときに尿が漏れる状態です。お腹に力が加わった拍子に失禁します。重症化すると、椅子から立ち上がったり歩き出したりといった、ほんの少しの動作でも尿が漏れるようになります。
骨盤底にある骨盤底筋群が膀胱と尿道を支え、尿道を締めることで尿漏れを防いでいます。この筋群が弱くなったり傷んだりすると尿漏れが起こります。加齢や出産が、骨盤底筋群が弱くなる誘因となります。
切迫性尿失禁
突然強い尿意が襲ってきて我慢しきれず漏れてしまう尿失禁です。脳血管障害などによって排尿を抑制する脳のコントロールが利かず、膀胱に少しでも尿が溜まると急に尿意をもよおしたりするケースもありますが、原因がないのに膀胱が勝手に収縮したりして起こるケースも多いようです。
男性の場合には前立腺肥大、女性の場合には骨盤臓器脱の症状として現れることもあります。
溢流性（いつりゅうせい）尿失禁
男性に多い尿失禁で、多くの場合前立腺肥大症に伴って起こります。尿意があっても勢いよく排尿できず、少しずつ尿が漏れていきます。
直腸がんや子宮がんの手術がきっかけで膀胱周辺の神経機能が低下して、そのために症状が出ることもあります。
機能性尿失禁
排尿機能は正常でも、歩行が困難なためにトイレに間に合わない、認知症のためトイレの場所がわからないなど、身体運動機能低下や病気のために起こる尿失禁です。
尿失禁の検査
排尿、尿失禁の状態を正確に把握するために、数日間、「排尿日誌」をつけて排尿時間と排尿量を記録していただく場合もあります。
診断は、検尿、超音波検査などを行います。いずれも身体に負担がない検査です。
必要に応じて、膀胱の知覚と運動機能を調べる尿流動態検査などを行う事もあります。
尿失禁の治療
恥ずかしさが先に立ってなかなか人にいえない、病院にも行きづらい尿失禁ですが、気になるあまり仕事や外出、旅行、人づきあいなどにも消極的になったりして、社会生活に大きな支障を来します。軽度であれば有効な薬物治療や改善治療があります。また原因病があれば、その治療を行います。できるだけ早く泌尿器科を受診して治療を始めてください。下記PDFファイルもご参照ください。
